1話 自分の人生をとり戻したい!だけど借金漬けでやめたくてもやめられない

多額の借金をして歯科医師になったが

大阪府で歯科医院を営む山田貞昭さんは、2009年にセミナー受講を開始し、現在は読脳アカデミー・CWインターナショナルスクールのスクール生です。

「私は在日韓国人で大阪に生まれました。

物心がつく頃から親に
『韓国人は公務員にはなれない、大手企業にも就職できない。仕事はパチンコ屋、金融、焼き肉屋か、それじゃなければ医者くらいしかないよ』
と言われて育ちました。
そんな親に反発はしていましたが、18歳で社会に出てから、在日韓国人は就職がすごく難しく、収入が安定しないアルバイト的な仕事にしか就けない人が圧倒的に多いという現実に突き当たりました。
私は知人のつてで東京に職を得ましたが、『自分の将来を考えるとこのまま今の仕事を続けていても未来はない、頑張って勉強して医療系の仕事に就こう』と考えたのです。

医療の世界を目指し歯科大学に入学し、国家試験にも合格しました。
しかし、大学6年間の学費のために背負った借金数千万を抱えてのスタートでした。
晴れて歯科医師になってからは借金を返すため死に物狂いで働きました。
そして、将来はもっと医院を大きくしたいと夢も抱いていました。

そんな毎日の中で、ある日送られてきたダイレクトメール。
それが伊東聖鎬先生に出会うチャンスをくれたのです。
そのダイレクトメールを見て、“医療技術だけではない何か”を感じたのです。

伊東先生に出会い、元々の自分を取り戻した

私は在日韓国人であるということで日本人が体験しないようなことをいろいろ体験してきていましたから、ずっと自分を掴むための人生を生きてきました。
でも、大学を卒業して歯医者になってからは、自分の人生に向き合う余裕がなくなり、仕事だけに突っ走っていました。
しかし、心の奥底では強く求めているものがあって、そこに響いたのかもしれません。

伊東先生のセミナーは、哲学的なことや人生の話、そして本当のことが聞ける稀有な講義で、歯医者になってからずっと技術と経済だけを追い求めてきた私にとって、そういう話は新鮮でともかく楽しかったです。

といっても、最初の頃は伊東先生の言っていることの意味が分からず全然頭に入ってこなくて、会場を出た瞬間に何の話を聞いていたのかを忘れてしまうということが続いていました。
当時のメモを見ると、伊東先生は今とほとんど同じことを言っているんです。
いかに自分の頭がガチガチの医療者になっていたのか分かります。
伊東先生の言っていることは至極当たり前のことなんですが、医療者側に立つと理解できないのです。
それは理解するわけにはいかないという防御反応が働くのでしょう。
時間をかけて伊東先生の話を聞く中、だんだん元々の自分を取り戻していったように思います。

デタラメな保険診療と、「その人」に対応するCW歯科

そうなると自分がやっている保険診療に疑問が湧き出してきました。
そこで、保険診療を辞めて自費診療に移行しようと考えるようになりました。

ケガをした時の手当としての外科的な治療を行なう保険医療は必要だと思いますが、それ以外の分野では保険医療はデタラメだと思います。
内科の医師と懇意になって話を聞くことがあったのですが、本当にとんでもない世界だな、と思いました。
歯医者もそういう医療の一翼ですが、外科に近い部分はあります。
ケガをしたら縫わなくてはならないのと同じように、歯に穴が開いたら埋めるとか、歯がなくなったら入れ歯を作るとか……。

ただ、歯科の保険診療はすべてが対症療法で、厳密に決まったルールがあって、どんな人にも同じルールを適用しなければならないのです。
それでジレンマを抱えている歯医者がたくさんいるのです。
でも、そこから脱出したいという人はほとんどいないというのが現実です。
それは保険診療で何とか食べていけるからです。
ごく一部に自分の技術だけで自費診療をやっている人もいますが少数です。

しかし、伊東先生から「CW Happiness Philosophy読脳」を学んだ私達歯科医師がめざすのは、そういう自費診療ではなく、歯や口の中の症状をきっかけに、患者さん本人が、体のトラブルも、心の問題も人間関係も生き方も自分で解決できるよう協力する「CW歯科」です。
そんなこれまでにない全く新しい歯科を創っていこうという考えなのです。

つまり、行なうのは指導なのです。
指導だから、症状がなくなったら終わり、ではなく長く関わることができ、患者さんが自分でできないところを協力し、歯科処置が必要なときにはそれを行なう、それだけでなく人生や家族のことについても協力する、そんな歯科をCW歯科と名付けて、それをやりたいという受講生仲間の歯科医師達とチームを組んで活動も始めました。
しかし今では、もう医院をたたみたい、少しでも早く歯科医師を辞めたいと思うようになりました。
CW歯科はこれからの時代、必ず必要とされるものだと思っています。

しかし、私はもっと違う活動をしたいのです。
ほとほと医療の世界に嫌気が差してしまったからだと思いますが……。

限られている人生時間の中で、自分のやりたいことをやりたい

医療の世界は虚構で出来ていて、言ってみれば人の体を道具にお金儲けしているだけだと気付きました。
「医療経済」という言葉があるように、医療は経済優先です。
歯科はまだそれほどでもありませんが、医科の病院を見ているとほとんどその通りだと思います。
人を人と扱っていない世界です。
それなのに私も知らず知らずのうちに同じようなことをやったり言ったりしているのです。
白衣を着ると知らず知らずにお上の立場に立ったような気分になり、上から目線で患者に接してしまうのです。
そんなことを自分がやりたいわけではない。
もっと自分がやりたいこと、納得できることをしたいのにそれができない……。
それに気づいて悩み、ストレスをもっている医療者も多いと思います。
もうやめたいと思っているのは私だけではないと思います。

しかし、現実問題として、歯科医師になるため、そして医院を開くために背負ってしまった多額の借金という足枷があるのです。
このまま一生歯医者をやってお金に振り回され、自分の人生でやりたいこともやれないまま終わるのか?
このままグズグズ悩んでいても時間を浪費するだけです。
私も60歳を越えましたから。
人生は長いようでそれほど長くはないですから、一歩踏み出そうと思います。
問題は、いかに借金を残さず、次のステップに踏み出せるかです」

国、医療機器メーカー、製薬会社の黒いつながり

CWのセミナーに受講して、医師を辞めた人、歯科医師を辞めた人、柔整師を辞めた人、学校の先生を辞めた人はけっこういます。
本当に自分が納得できることがしたい、やりがいや生きがいをもちたいと考えれば、現在の医療や教育制度に疑問や行き詰まりを感じるのは当然のことです。

しかし、山田さんのように借金という足枷でやめるわけにいかないという医療者が本当に多いのです。

なぜ、それほどの借金を抱えているのか。
一般の人が数千万円ものお金を借りるとしたら相当厳しい審査があります。
何人もの医師や歯科医師に聞いてみると、医師や歯科医師の免許を持っている人は、銀行からかなりの多額のお金を融資してもらえるというのです。
5千万や6千万、あるいは1億、2億、それ以上という、一般サラリーマンではとても借りられそうにない金額を融資してもらえるため、多くの開業医は開業の際に多額の融資を受けており、実は借金まみれなのです。
毎月の返済額は一般サラリーマンの月収をはるかに超えています。
月々数10万~100万もの借金を返済していくためには多くの患者をこなさなければならず、結果流れ作業の診療が常態化してしまうのです。
そんな日々に嫌気がさして、辞めたいと思っている医療者はおそらくいっぱいいるはずです。

しかし、借金を抱えているため身動きが取れない状態になっているのです。
国や医療機器メーカー、製薬会社がグルになって医療者を食い物にしている。
そんな図です。
まるで罠にはまった獲物のように囚われてしまったのです。
「騙された!」と思っている医療者がたくさんいます。
そして、そんな人達は何とか抜け出そうと模索しているというのが現実です。